STATUS現在の住宅業界の現状
「未来は明るい」と言える業界ではない現在の住宅業界の中で、
皆さんはどのようにして収益を出し続け、存続できる会社になっていきますか!!

<内容>

経済産業省「今後の住宅産業のあり方に関する研究会」概要からの抜粋

住宅市場の現状と住宅産業の課題

1.住宅市場等の現状

・少子高齢化の進行を背景に2020年には新規着工戸数は現状の2/3の約80万戸程度まで減少する((財)建設経済研究所)と予想。
・既存住宅については、品質面で課題がある住宅が多く存在。例えば、新耐震基準施行(1981 年)以前の建物が 37%。
・我が国の住宅取引量に占める既存住宅の割合は 13%であり、米国(78%)、イギリス(89%)、フランス(66%)に比較して著しく低い。
・我が国の住宅は諸外国に比べて壊されるまでの年数(平均)が31 年と、アメリカの44 年、イギリスの75年と比べて短い。
・家庭部門におけるエネルギー起源のCO2排出量(2005年度)は基準年(1990年度)比で+37.4%。2010年度の政府目標値(+6.0%)を超える高い伸び。一方、新築住宅における次世代省エネルギー基準への適合率は 31.8%(2004年度)となっているが、ストックベースでは、既存住宅の1%程度(2003年度)であり、新省エネルギー基準を含めても1割弱(同)との状況。
・住宅産業の規模を需要サイドからみると、2006年度の住宅投資は19.0兆円で名目 GDPの 3.7%。また、これに維持・修繕費、家具・インテリア等購入費、光熱費などの居住関連支出を含めた市場規模は 46.4兆円にのぼるなど、我が国済において重要な位置づけを有する。

2.住宅産業の直面する課題

住宅市場の現状等を踏まえ、住宅産業が直面する課題を整理すると以下の3点。
・良質な住宅の次世代への承継
・住まい手のライフスタイルと調和した省エネルギーの実現
・新築需要依存から脱却した新たな発展

住宅産業の今後の方向性と対応

1.今後の住宅産業の方向性

(1)「『住み継ぐ』住宅システム」の構築
・少子高齢化による新築需要減少への対応、資源の有効利用の観点から、取得した住宅をメンテナンスなどにより維持管理し「住み継ぐ」ことが無理なく行える住宅システムの構築が必要。
・年金問題など将来への懸念材料が存在する中、住宅が適切な資産価値を保ち続けるようなしくみを整備することが重要。
・住まい手の積極的な参加や住宅産業と住まい手との適切な役割分担が不可欠。住まい手としては、ライフステージやライフスタイルに合わせ「住宅を手入れする」「そしてその住宅に愛着を持って長く住まう」「手入れされた住宅を他者に引き継ぎ自分は住み替えを行う」といった対応における主体的な行動が重要。
・一方、今後建てられる住宅が長期にわたり住み継がれるためには、新規に供給される住宅がそもそも良質なものであることが不可欠。

(2)「快適かつ省エネルギーな住生活」の実現
・住宅における省エネルギーを進める際の観点として重要なのは「快適かつ省エネルギー」となる多面的な取組を促進すること。新たな技術を活用することなどで快適な住生活とエネルギー消費の抑制は両立しうるが、その際、無理なく省エネルギーが進む仕組みとすることが重要。また、住まい手の省エネルギー意識の啓発が必要。

(3)「産業としての新たなフロンティア」の創造
・産業が発展していくためには、当該産業や従事者が将来の夢や目標を常に持つことが必要。社会や市場に対して自らの将来性、可能性を提示していくことによって、資金、若手人材などを惹きつけることが可能となる。
・今後変化する住まい手とその感性、ライフスタイル、住生活ニーズに能動的に対応することで、そのポテンシャルを発揮し、産業としてのフロンティアを創造していくことが必要である。
・また、住宅産業のフロンティアの一つとして、海外での事業展開などが考えられる。省エネも含む日本の優れた技術を海外に紹介していくことは将来のビジネスに向けた環境整備の観点からも重要である。

2.対応の方向性

(1)住まい手と住宅メーカー、関連業界の連携によるメンテナンス体制の構築
・住宅の補修用の部材に関し、長期にわたって保有する体制が整備されていないことから、部材の交換等に多大なコストを要するケースが生じている。
・住まい手は自ら住宅の手入れをするという意識は低く、本来自ら可能なメンテナンス(リフォームも含む)もあまり行われていない。
・こうした点を踏まえ、長期使用を実現するためには、住まい手、住宅メーカーや関連業界の連携によるメンテナンス体制の整備が必要。

(2)オープンなシステムへの転換
① インフィルのオープン化
・スケルトン(構造躯体、skeleton)とインフィル(設備・内装、infill)とを分離して管理する対応をさらに進めることが有効。
・スケルトンは、プレハブを中心とした住宅メーカーが互いに競いながら工法の開発・改良などを通じて技術レベルを向上させてきており、今後とも住宅の耐久性、耐震性などを受け持つ重要なハードとして技術力を競う対象。
・他方、インフィルについては、メンテナンスの主たる対象であり、その費用をいかに低廉化するかが求められている。
・個々の住宅の構造、使用されている建材、設備などデータベース化され、それが開放されれば、新規の参入者が促進され、市場が活性化することが期待。
② 建材、補修部品の標準化、共通化
・建材や補修部品の標準化や共通化を図ることは住宅メーカーにとって建築コストの低減、長期的なメンテナンスコストの低減にも繋がるもの。
③ 住宅の履歴情報のオープン化
・既存住宅のうち、履歴が管理されている工場生産住宅は良質なストックとしての流通が期待。現に一部では当該住宅を生産したメーカーによって取引されており、こうした取組を住宅メーカーの間でさらに共同で行うことで、良質な既存住宅ストックのさらなる流通促進を期待。

(3)住まい手における意識の啓発
① 住まい手の意識への働きかけ
・住宅産業サイドと住まい手との間には情報の非対称性があるのが現実のため、住宅産業として住まい手に対して適切に情報を提供して行く努力が必要。
② 住まい手の「住生活リテラシー」の向上
・これまでの住文化の蓄積に加え、より中長期的な対応として、住まい手自身が得た情報を認識、評価するための住宅に関する知識、教養、能力(住生活リテラシー)の向上も重要。
③ 住まい手支援のための住生活に関するエージェント機能の充実
・専門的な知見を基礎として公正中立な立場から住まい手の選択を支援するといった、住生活に関するエージェント機能の充実が必要。

(4)「住宅にビルトインされた省エネルギー」の推進
・豊かな住生活とエネルギー消費の抑制の両立を目指し、躯体の断熱性能の向上、高効率の住宅設備の普及に加え、住まい手の省エネ意識啓発・省エネ行動促進という3つのアプローチを総合的に進めていくべき。その際、「住宅にビルトインされた省エネルギー」との観点が重要。

3.対応にあたっての留意事項

(1)諸問題の同時解決と具体的な取組の必要性
・個別化・多様化と共通化など相反する課題や、いわゆる「ニワトリとタマゴ」の関係にある問題も多い。「諸課題の同時解決」が効果的かつ不可欠。
・何よりも重要なことは、理念や課題解決の考え方を示すだけでなく、いかに具体的な取組の第一歩を踏み出すかということ。
(2)先駆的取組の重要性と先行者たる住宅関連事業者に期待される役割
・住宅メーカー、建材メーカー、住宅設備メーカーなどの住宅関連事業者において先駆的に行われる取組を推進することや、相互の連携を進めて取組の規模を大きくしたり相乗効果を発揮させたりすることなどが極めて重要。

(2)「快適かつ省エネルギーな住生活」の実現
・住宅における省エネルギーを進める際の観点として重要なのは「快適かつ省エネルギー」となる多面的な取組を促進すること。新たな技術を活用することなどで快適な住生活とエネルギー消費の抑制は両立しうるが、その際、無理なく省エネルギーが進む仕組みとすることが重要。また、住まい手の省エネルギー意識の啓発が必要。

(3)「産業としての新たなフロンティア」の創造
・産業が発展していくためには、当該産業や従事者が将来の夢や目標を常に持つことが必要。社会や市場に対して自らの将来性、可能性を提示していくことによって、資金、若手人材などを惹きつけることが可能となる。
・今後変化する住まい手とその感性、ライフスタイル、住生活ニーズに能動的に対応することで、そのポテンシャルを発揮し、産業としてのフロンティアを創造していくことが必要である。
・また、住宅産業のフロンティアの一つとして、海外での事業展開などが考えられる。省エネも含む日本の優れた技術を海外に紹介していくことは将来のビジネスに向けた環境整備の観点からも重要である。